超ミクロの世界を覗く:ナノグラム(ng)とピコグラム(pg) [科学]
今回は、志向を変えて、以前分析した河川水と雨水のレアメタルやレアアース
のミクロの世界を紹介させていただくことにしました。最近、IT技術の進展に伴い、ナノテクノロジーといった熟語が登場してきました。
ラテン語でNano(ナノ)は小人を、Pico(ピコ)は尖った先をそれぞれ意味し、ともに
小さい代名詞です。これらが長さや重さの単位に使用され、ナノは10億分の1
(19-9)を、ピコは1兆分の1(10-12)をそれぞれ表わす単位の接頭語です。例え
ば、1ナノメートルは10億分の1メートル、1ナノグラムは10億分の1グラムです。
おなじみの単位ppm(parts per million)は百万分の幾つです。その千分の1の
単位がppb(parts per billion)で10億分の1、さらにその千分の1がppt(parts per
trillion)で1兆分の1、さらにその千分の1がppq(parts per trillion)で千兆分の1
と気が遠くなるような超ミクロな単位が存在します。例えば、1ppm(水溶液)は1ℓの水に1mgの物質(Na, Feなど)が (1mg/ℓ)、
1ppb は同0.001mg(1µg/ℓ))の物質が、1pptは同0.000001mg(1ng/ℓ)の物質
が、1ppqは同0.000000001mg(1pg/ℓ)の物質がそれぞれ解けている状態です。
g(グラム)を千分の1ずつ小さくした単位は、それぞれmg(ミリグラム )、 µg (マイク
ログラム )、 ng(ナノグラム) 、pg(ピコグラム ) です。このようなpptや ppqレベルの極微量元素の測定を可能にしたのが高分解能
ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)の開発でしょう。幸運にも、つくばの
農業環境技術研究所に超高価な世界第一号機、“高分解能ICP-MS”(英国製)が
水質動態研究室(山崎慎一室長)に1988年導入されたのです。
この器械の導入は全国の注目を集め、大学、官民の研究者による利用が盛んにお
こなわれ、今まで困難であった分析を可能にしたのです。ハイテク関係では超高純
度試薬、超純水などの不純物分析が、生物、環境分野では河川水、雨水、土壌、生物
体などのレアメタル(希少金属)やレアアース(希土類元素)の分析が行われたので
す。また、約4000年前の南極の氷のレアメタルの分析や環境放射能の測定などにも
広く利用されました。
レアメタル(希少金属):地球上での存在量が極めて少ない、存在量は少なくないが、これら
の資源が少なく、また、精錬が極めて困難な元素で52元素(レアメタルハンドブックによる)
がこれに属し、わが国では36元素が定義されています。
レアアース:レアメタルの内で、スカンジウムとイットリウムを含む周期律表のランタニド元素
(ランタンからルテチウムまで)。
導入された世界最強超微量元素分析装置
出典:プラズマイオン源質量分析
日本分光学会測定法シリーズ28
5章高分解能ICP質量分析:山崎慎一・津村昭人。
ぶんせき(日本分析化学会、1992)に紹介されました。
高分解能ICP-質量分析装置で河川水・雨水の超微量元素の分析を
行いました。
全国82の一級河川82箇所から河川水を採取しました。
大変でした(多くの方のご協力を得ました)。
濃度レベルはppt~ppqが多い。縦のジグザグ線は平均値。
ランタノイド以外のレアメタルを除く。
わが国の雨のレアメタル・レアアース濃度レベル。図が小さく読みずらい
ので申し訳ありません。
舎人公園近くに住んでます..
バイオ関連ですが..
by Koji (2011-03-01 16:40)
舎人公園近くに住んでます..
バイオ関連ですが..
sales@pacific-bio.net
by sales@pacific-bio.net (2011-03-01 16:41)