つくば植物園の絶滅危惧野草 [植物観察]
つくば植物園の絶滅危惧野草
恒例の読売・日本テレビ文化センターの講座“花とみどりをもっと知ろう”がつくば植物園で開催されました。ここで管理されている絶滅危惧関連野草の数種を写真で紹介させていただきました。
参考資料 : わが国維管束植物の絶滅危惧種などの数
わが国の維管束植物レッドデーター数(絶滅のおそれのある野生生物に関するデーター数)は以下のように1835種にのぼります(維管束植物レッドデーター、平成12年7月、生物多様性情報システム、環境省より)。
保全状態評価
絶滅(EX、我が国ではすでに絶滅したと考えられる種):20
野生絶滅(EW、飼育・栽培下でのみ存続している種): 5
絶滅危惧(Threatened):絶滅の恐れのある状態で、絶滅危惧ⅠA類、絶滅危惧ⅠB類、絶滅危惧Ⅱ類から構成されています。
絶滅危惧ⅠA類(CR、ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種): 564
絶滅危惧ⅠB類 (EN、IA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種): 480
絶滅危惧Ⅱ類(VU、絶滅の危険が増大している種): 621
準絶滅危惧(NT、現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては絶滅危惧に移行する可能性のある種): 145
省略記号の英語の意味
Extinct(EX、絶滅)、 Extinct in the Wild(EW、野生絶滅)、 Critically Endangered(CR、絶滅寸前、絶滅危惧ⅠA類)、 Endangered(EN、絶滅危機、絶滅危惧ⅠB類) 、 Vulnerable(VU、危急、絶滅危惧Ⅱ類)、 Near Threatened(N T、準絶滅危惧)、 Data Deficient(DD、 情報不足) 。
比較的身近な野草では、ムニンノボタン(ⅠA類)、タチスミレ(ⅠB類)、アサマフウロ(ⅠB類)、ムラサキ(ⅠB類)、アツモリソウ(Ⅱ類)、オキナグサ(Ⅱ類)、フクジュソウ(Ⅱ類)、タコノアシ(Ⅱ類)、オニバス(Ⅱ類)、サクラソウ(Ⅱ類)、カイジンドウ(Ⅱ類)、イヌノフグリ(Ⅱ類)、エビネ(Ⅱ類)、サギソウ(準絶滅危惧)、フジバカマ(準絶滅危惧)、シラン(準絶滅危惧)、ヒメサユリ(準絶滅危惧)があります。2007年8月の見直しで、サクラソウとタコノアシは準絶滅危惧に、フクジュソウはランク外に格付けされました。
舎人公園のボランティア花壇の片隅に、野草見本園を開園致しております。ありふれたもの、昔懐かしいもの、珍しいものなど100種以上に名札を付けて来園者の方々に親しんでいただいております。足立区の野草(冊子)も発行されています。
つくば植物園で観察された絶滅危惧種などの幾つかを下に写真で紹介させていただきます。
ヒメサユリ(オトメユリ):準危惧種、日本特産のユリ
開花直前。ユリ科の多年草。
アサマフウロ:ⅠB類、花は8~9月で濃紅紫色。浅間
山麓で多く見られる。フウロソウ科の多年草。
タチスミレ:ⅠB類、現在利根川流域で見られる。
スミレ科の多年草。
カイジンドウ:Ⅱ類、落葉樹林に生える多年草で花は
5~6月。甲斐の国に咲くリンドウの転訛。シソ科。
ムラサキ:ⅠB類、根(紫根)は生薬、染料に(紫色)。
ムラサキ科の多年草。
オキナグサ(翁草):Ⅱ類、羽毛状の痩果の集まりを
老人の白髪に例えた。花は4~5月、キンポウゲ科の
多年草。
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