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アカバナユウゲショウの雨滴散布 [植物観察]

アカバナユウゲショウの雨滴散布

発見の出会い

ある雨の日、いつもの道草をしている時、アカバナユウゲショウの茶色の可愛らしい幾つもの果実(さく果)が4つに裂けて開いているのを見つけました。持ち帰るとそれらの果実は元通りにふさいでいました。ボタニカルアートを描くため虫やゴミを落とすため水道で流していたら、それらの塞いでいる果実が見る見る開いてきました。なんと不思議な現象でした。心は凄くわくわく、楽しい出来事でした(ボタニカルアーティストH.O記)。

  何故雨の日に果実が開くのか?

多くの果実は晴れると開き、雨では閉じるものが多いのに何故好んで雨の日に開くのか?

  

検証:複数着生した完熟果実(さく果)に水を何回か降り掛けてみた。1~2分経つと丸く閉じていた果実がゆっくり4つの果皮に裂け、あるものは中から1mm以下の小さな種子がぎっしり詰まっていました。さらにあるものは、種子が半分くらい、種子が少し、種子が全く無い果実がそれぞれ観察されました。これらのことは、種子の詰まった果実が雨で開き、雨によって種子がながされ、雨が止むと閉じ、また雨で開き種子を流し、また閉じる作用を繰り返すのです。開いた果実の種子は容易に水滴で流れます。強く長い雨では、一度で種子は洗い流され、かなり遠くまで伝播するといえます。最近、舗装道路の割れ目などで美しく咲いたアカバナユウゲショウが時々見られるのは雨滴散布によるためでしょう。

種子が沢山詰まっている果実はその先端の棒(果実の軸)が無いか短い。開閉が繰り返されるとその棒が相対的に長くなります。何故雨の日に果実が開くのか?わかりませんが、本果実(種子)は、下記散布様式、くっつきむし、果実の破裂、風の利用などの要素を持たないための工夫(進化)ではないでしょうか?

  

ヒルザキツキミソウは日本では結実しないと有名な図鑑に記述されていますが、結実します。結実した果実はアカバナユウゲショウと同様な雨滴散布の行動を示します。ヒルザキツキミソウの結実・雨滴散布については次回本ブログで取り上げます。

  関連記事種子の散布様式

散布様式は様々で、単一のものから複数のものがあります。身近な例としてスミレは閉鎖花を含めて自動散布により弾き飛ばされ、一部アリによって運ばれます。

  動物散布(くっつきむし、被食型)、自動散布(カラスノエンドウ、スミレ、カタバミなど)、振動散布(タネツケバナなど)、風散布(タンポポ、ガガイモなど)、水流散布(カサスゲ、ハマダイコンなど)、水滴散布(ネコノメソウ、アカバナユウゲショウ、ヒルザキツキミソウなど)、重力散布(果物など)。

写真の判り易い説明(以下の写真を見て下さい:クリックして拡大して下さい)。

 ボタニカルアート.jpg 

アカバナユウゲショウのボタニカルアート 

アカバナユウゲショウ合成.jpg 

吸水前の果実(さく果)が(左)吸水すると右の写真のように果実が4つの果皮に裂けて開き種子がむき出しになる。このような状態で雨に打たれると種子が流出して散布される。

 アカバナユウゲショウ果実1.jpg 

濡れて開いた状態の果実:1mm程度の種子がぎっしり詰まっていました。

 アカバナユウゲショウ果実・坪内.jpg 

同じく吸水して開いた果実:撮影坪内英昭氏。

 アカバナユウゲショウ果実2.jpg 

種子が雨滴流出した果実。 

 


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