セイロンベンケイが開花しました [植物観察]
舎人公園でセイロンベンケイに花が咲きました。屋外で育てたセイロンベンケイを11月舎人公園サービスセンター内に取り込み栽培を続けました。1月頃小さな袋(萼・蕾)ができ、2月下旬に開花しました。写真に開花までの様子を示しました。
セイロンベンケイ (セイロンベンケイソウ:Kalanchoe pinnata Pers.) はベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属の植物で、別名を花の形からトウロウソウ(灯籠草)といいます。英語で"Good-luck leaf"と書き、幸運の葉と呼ばれています。原産は南アフリカで、日本では沖縄や小笠原諸島に自生しています。
多肉質の多年生草本で、暑さには強いのですが寒さに弱い性質を持ちます。日当たりの良い場所を好みますが、半日蔭でも育ちます。開花期は一概に言えませんが1-4月です。
土中に埋めるとか水を入れた容器に浸すと葉の縁から不定芽を出す(無性生殖)性質を持つので、はからめ(葉から芽)ともいわれています。
花は下の写真のように緑色の風船のような形をした萼(がく)ができ、その中に小さな蕾がすでにできています。大きく長くなった萼の下を突き破るようにして花が出現し、花びらを反り返すように開きます。増やし方は不定芽で簡単に増やせます。種子も出来るようですが、まだ確認していません。
風船のような萼が出来始めました(1月)。
開花直前の全体の姿です。
風船(萼)は大きく長く伸びてきました。開花直前です。
風船(萼)の先端から花びらが出てきました。
花びらの先は反り返ります。
地面の落ちた葉の縁から不定芽がでて幼植物となりました。移植可能です。
同じく不定芽が生育している様子です。
足立区の樹木・ポケットガイド新刊 [植物観察]
足立区の樹木・ポケットガイドが新たに発行されました。これまでの足立区の野草・ポケットガイド、足立区の野鳥・ポケットガイドと自然観察3点セットの最終版です。長年時間を費やしようやく完成しました。
内容は、新しい植物の分類方法の解説、冬の葉腋の姿、都道府県の木、足立区の保存樹のことなど盛り沢山です。以下簡単に紹介させて頂きます。ここでの写真は写りが悪いのですが、現物は見事です。写真をクリックして拡大して見て下さい。
このような表紙です
目次です
新しい植物分類
新しい植物分類: APG分類体系とは
最近、植物の分類体系に新しい手法が導入されています。植物観察を行っている者
にとって、今まで使っていた科名が無くなる、変更される等により不便が生じる可
能性があるでしょう。
1990年以降、被子植物の分類体系にDNA解析(葉緑体DNA解析)による系統学手法が
導入されました。この手法の進展により欧米では、植物図鑑などが新しい体系に変
わってきています。わが国でも、将来この手法が植物分類学の主流になると考えら
れています(APG植物分類体系:APG法)。
従来の分類法は、リンネの自然の体系(18世紀)から、生物を科、属と区分する分類体系
が生まれました。これにダーウイン(19世紀)の進化論が取り入れられ、花や葉を基にした
類縁関係からマクロ形態的な分類体系が定着し、これまで教科書や図鑑でこの分類方法が
採用されてきています。この方法は、単純な構造を持つ花から複雑な構造の花が進化した
として、植物を系統的に分類したもので誰でも直感的に分かり易い方法なのです。ところが
APG法はDNA情報を基にした植物の新しい分類法です。この方法では外見によらないで遺伝子
情報(DNA情報) の差から類縁関係をつかもうとするものです。学術的には優れた手法ですが、
植物を観察する植物愛好家にとっては、定着するまで時間がかかると思われます。しかし、
既に一部の図鑑ではAPG法が採用されており、将来多くの図鑑や教科書が新しい方法に書き
換えになると考えられますので、本書でもこの分類に従っております。
APG法導入により科が変わった樹木の例、( )内は旧分類。
裸子植物 コウヤマキ:コウヤマキ科(スギ科)、スギ・コウヨウザン・メタセコイア・
ラクウショウ:ヒノキ科(スギ科)。
被子植物 イイギリ:ヤナギ科(イイギリ科)、ムクノキ・エノキ:アサ科(ニレ科)、
アオギリ:アオイ科(アオギリ科)、イロハモミジ・オオモミジ・メグスリノキ・ヤマモミジ
・トウカエデ:ムクロジ科(カエデ科)、トチノキ・ベニバナトチノキ・セイヨウトチノキ
:ムクロジ科(トチノキ科)、ウツギ・ヒメウツギ・ガクアジサイ・アジサイ:アジサイ
科(ユキノシタ科)、サカキ・ヒサカキ・ハマヒサカキ・モッコク: サカキ科(ツバキ科)、
マンリョウ・ヤブコウジ:サクラソウ科(ヤブコウジ科)、アオキ:ガリア科(ミズキ科)、
コムラサキ・ムラサキシキブ:シソ科(クマツヅラ科)、キリ:キリ科(ノウゼンカズラ科)。
新しいAPG法による分類法の模式図の説明
植物の進化の歴史を示した分類体系を簡略化して次頁に図示しました。古い順に列挙すれば
シダ植物、裸子植物、被子植物となり被子植物は被子植物基底群(3目(もく))、単子葉
類(11目)、真正双子葉類(37目)に大分類されます。図の縦の短冊内のカタカナ書
きは目(もく)を表し、
目の下の階級に科が配置されます。被子植物の科数は416に分類されています。
世界最古の被子植物は1目1科1種のアンボレラ(ニューカレドニアに生育)です。
新しい植物分類体系と旧分類法の図解
樹木の写真図鑑の一例:すみません写真がぼけています。
舎人公園野草園のタコノアシ [植物観察]
舎人公園野草園でタコノアシが生育しています。湿地環境をつくり栽培しました。
タコノアシ(蛸の足、学名:Penthorum chinense)はタコノアシ科の多年草。ユキノシタ科とされていたが花の形態などはベンケイソウ科に近く、ベンケイソウ科に入れる説もあります。最新のAPG植物分類体系では、独立のタコノアシ科(Penthoraceae)と分類されています。
日本のほか東アジアに広く分布し、湿地や沼地など湿った場所に生育します。日本では絶滅危惧II類(VU)から
準絶滅危惧(NT)に変更された(環境省レッドリスト)ことから少しずつ復活しているのですね。
高さは数十cmくらい。細長い葉がらせん状につき、数本に分かれた総状花序を放射状に茎の先につけ、8~9月頃小さい花を多数咲かせます。これを上から見ると、吸盤のついた蛸の足を下から見たのに似ています。タコノアシの名の由来は朱色に染まった総状花序が吸盤のある「鮹の足」に似ているからです。晩秋になると総状花序の蒴果が熟し、全草が茹蛸のように朱く変化します。以下の写真で見て下さい。ピントが甘くてすみません。
タコノアシ:7月23日の生育。
同じく7月23日の生育の様子:蕾が見えます。
タコノアシの開花:7月30日。
登熟初期(9月14日)の様子:総状花序に赤身がでてきました。
登熟期(9月29日):色づき蛸の足に似てきました。
登熟期(9月29日):直ぐ上の写真を上から写した様子。蛸が頭を下にして足を広げているように見えます。
タコノアシの拡大した総状花序の蒴果(11月2日):種子は既に飛散しています。
タコノアシの種子:0.1mm(100ミクロン)位の微小な種子です。無数(数万個)の種子を着生します。ヤセ
ウツボやナンバンギセルも微小ですが、さらに小さい種子です。
タコノアシの種子:0.1mm(100ミクロン)位の微小な種子の拡大写真。細長く種皮には沢山の突起があります。風や水で運ばれ伝播します。写真左上は約100倍の拡大写真。
飯能市名栗の散策 [植物観察]
先月、埼玉県飯能市の名栗温泉に行きました。宿泊ホテルは100年続いた大松閣で、最高のもてなしを受けました。この周辺では夏にはホタル観賞、名栗湖、キャンプ場、カヌー工房、小川での釣りなど楽しめます。ホテル周辺の森の小道での散策で、目に留まった植物を写しました。それらの一部を紹介させていただきます。
100年の歴史があるホテル大松閣。
大松閣近くの風景:沢蟹がいます。
釣り場:ヒメマス、イワナなどが釣れます。
ホテル近くに自生しているイワタバコ:山の壁面で水が滴れ落ちていました。かなり広く分布していました。
イワタバコの花は小さいく可憐でした。
この辺一帯がタマアジサイの群生地です。
タマアジサイの開花:咲いてしまえばガクアジサイにそっくりです。開花前のツボミが玉(球形)です。
玉が破れて開花している様子です。
キササゲの花と実が同時に見れました。
ミゾソバ:舎人公園にも生えています。
ハンゲショウ:舎人公園にもあります。
クマシデ:舎人公園でも見られます。
オニドコロ。
舎人公園野草園にレンゲショウマが開花 [植物観察]
レンゲショウマはキンポウゲ科の多年草で、山地や深山の湿気のある林下に自生しています。関東では、御岳山のレンゲショウマは有名です。このような環境で生育するレンゲショウマが果たして舎人公園野草園のような高温で直射日光の強い過酷な条件で生育可能でしょうか。今年で苗を植えてから3年目になります。昨年までは、うまく開花しませんでした。今年は、寒冷紗で30%ほど遮光し、夏のあいだほぼ毎日潅水しました。努力した甲斐があり、見事に開花しました。規模は小さいですが沢山咲きました。写真で紹介させていただきます。
御岳山のレンゲショウマ
舎人公園野草園のレンゲショウマ、これ以外にも生育しています。遮光は有効のようです。
一株に沢山ツボミをつけました。このまま、開花しました。下向きに開きます・
花がレンゲ(蓮華・ハス)・葉がショウマ似なので、レンゲショウマ。きれいでしょう。
角のある果実は珍しいです(写真一枚目の右上を見て下さい)。
ウマノスズクサのジャコウアゲハによる食害 [植物観察]
ウマノスズクサのジャコウアゲハによる食害
ジャコウアゲハの体内にはウマノスズクサの毒、アリストロキア酸(ウマノスズクサの学名アリストロキアから命名)を蓄積して保身しているが、アリストロキア酸は同時にジャコウアゲハの摂食刺激物質となる。そのため、ウマノスズクサの葉や茎と同様にアリストロキア酸を含有する卵、幼虫、蛹、卵殻および脱皮の抜け殻も幼虫の餌と見なされ食べられる。また、ウマノスズクサの抽出物をろ紙に吸い込ませると、ジャコウアゲハはそのろ紙に産卵する(京大)。これらの事実から、ジャコウアゲハの幼虫はウマノスズクサの葉と茎を区別しないで食べると推定される。ウマノスズクサに最初に産卵し、その幼虫が葉と茎を食べればウマノスズクサの一部は枯死する。さらに産卵が増えると幼虫数が増し食害が進行しウマノスズクサの地上部は殆ど枯死寸前に至る。このような状態で観察すると幼虫は必至に、生き残っている茎を食べていた。
ジャコウアゲハはやっとウマノスズクサを見つけたのでしょうか、毎日1~複数の成虫が産卵にやってくる。最近では、繁茂したウマノスズクサが枯死状態なので、周辺の小さなウマノスズクサ数か所の葉に産卵し続けている。約一月も産卵が続いています。このままでは、来年以降ウマノスズクサが野草園から姿を消す懸念があり、何らかの対策が必要です。
ジャコウアゲハの雌がウマノスズクサを見出す能力は前肢にそのセンサーがあるという情報があります(農林水産省農業生物資源研究所:蝶の味覚受容)。
気がついたこと:ジャコウアゲハは周囲に色々な花が咲いているのに何故かアレチハナガサの小さな花のみ密をあさっていました。ジャコウアゲハの雌を見つけてから一月ほど経過したのに、いまだ雄の姿を見ていません。
以下写真を紹介させていただきます。
ウマノスズクサ:一部枯死が見られる
8月17日(最初の産卵から一月後)の産卵の様子(数少ない小さなウマノスズクサにまで産卵)
産卵が全部で5個ありました
葉を食べている幼虫:終令(5令)?
かなり食害が進んでいます
茎を食べる幼虫
ほぼ全滅のウマノスズクサ
ほぼ全滅のウマノスズクサの奥に蛹(お菊虫)が沢山ありました。カマキリなどの外敵に見られない場所と判断?し、移動しないでその場で蛹化したのでしょうか。お菊虫は怪談皿屋敷のお菊由来(前回のブログを見て下さい)
アレチハナガサに集中して密を吸っていました。
足立区の樹木・ポケットガイド [植物観察]
昨年から今年にかけて、”足立区の野草・ポケットガイド”および”足立区の野鳥・ポケットガイド”を発行しました。共に好評で短時間に完売してしまいました。A6版のポケットサイズで携帯に便利です。これらに引き続き新たに”足立区の樹木・ポケットガイド”を編集中です。近い内に発行できると思います。”足立区の野草・ポケットガイド”の姉妹編で、樹木を200程度選んだ写真集に解説を加えたものです。
以下に一部抜粋して紹介させていただきました。下の写真はあまり出来が良くありませんが、完成品は綺麗に仕上がります。ご期待下さい。
クリックして見て下さい。
表表紙です
もくじです
本文写真集の一部です
同じく写真集の一部です。
舎人公園にセイヨウヒルガオが発生 [植物観察]
先月、舎人公園にセイヨウヒルガオが群生していることがわかりました。恐らく数年前に何らかの理由で導入されたのでしょう。注意して見ないとヒルガオ、コヒルガオと見間違えします。
セイヨウヒルガオは、1900年ころ鑑賞用として導入されたものが野生化し分布拡大したものです。土壌の劣悪な環境に耐え、地下茎と種子で蔓延します。外来生物法で要注意外来生物に指定されています。本種とヒルガオ・コヒルガオの見分け方は簡単です。以下の写真を見て下さい。写真をクリックして見て下さい。
コヒルガオ:花の基部の萼が苞に包まれている。ヒルガオも同様です。花と茎の中間に苞はありません。
コヒルガオ:セイヨウヒルガオと葉の形が違います。
セイヨウヒルガオの生育状況:花は夕方萎みます。
セイヨウヒルガオの開花の様子。
セイヨウヒルガオの花の裏面:花の基部には萼のみ存在します。苞は見えません。
セイヨウヒルガオ:花の基部は萼のみで、花と茎の中間に苞が一対存在します。これが見分けのポイントです。葉はコヒルガオよりヒルガオに近い形をしています。
国立自然教育園の植物 [植物観察]
5月、山手線目黒駅近くの国立自然教育園で植物観察をいたしました。当園は鬱蒼とした森林が広がり、山地のイメージが強く、山野草の観察に最適です。また、色々な樹木も多く、最近植物の種名板が充実してきました。都内ではなかなか見られない植物が年間を通じて生育しています。それらの一部植物を写真で紹介させていただきました。
アオイスミレ:春一番に咲くスミレで花は終わっていました。種名板が見やすいです。
イカリソウ:花は見られませんが、船の碇の形に似ています。
イヌショウマ:花は9月頃で白い穂状に沢山着きます。
サイハイラン:ラン科で葉は一枚だけの珍しい植物。鱗茎は漢方に利用されます。
ウグイスカグラ:赤い実は食べられる。鶯が鳴く頃開花する。
サルトリイバラ:猿はまさか引っかからないでしょう。西日本では、餡餅をこの若葉で包むそうです。
セリバヤマブキソウ:葉はせり葉で花はヤマブキ。
マツカゼソウ:草本では唯一ミカン科で固有種。舎人公園でもみられます。
ムサシアブミ:サトイモ科テンナンショウ属でウラシマソウやマムシグサの仲間。舎人公園に生育していましたが今年は出ませんでした。ウラシマソウは順調に育っています。
モミジガサ:モミジの葉?の中から花茎が伸びて夏に白い小さな花をつける。
ヤマボウシ:秋に熟した実は美味しいです。ハナミズキのあとに開花しますが目立ちます。
コナラの発芽 [植物観察]
舎人公園で沢山コナラが発芽していました。珍しい現象です。コナラなどのドングリは、種子が乾くと発芽しないとされています。コナラでは、種子の水分が30%程度以下になると枯死するとされ、普通ドングリが落下し2~3週間地上に放置されると、コナラの種皮は比較的薄いので、発芽能力を失うと推定されます。
舎人公園で発芽が見られた場所は、コナラの木の下で、何らかの理由でドングリの上に土が薄くかぶさっていました。そのため、適当な水分が確保され、春先3月~4月に発芽したと考えられます。適当な湿潤状態が保たれれば、半年以上経過しても発芽能力を有するという研究結果もあります。
以下コナラの発芽の様子を写真で紹介させていただきます。クリックして拡大して見て下さい。
発芽間もなくです。赤い子葉の養分で生長するでしょうが、すでに根を深くおろしています。細根もあり根でも養水分を吸収していると推定されます。
あちこちで発芽が見られました。
発芽と発根の様子です。
かなり生長しています。
私が10年ほど前、種子から育てたコナラの盆栽です。
八重咲のユキヤナギ [植物観察]
我が家の庭に一本の木から、枝分かれして、一方の枝に八重、片方の枝に一重の花がさきました。八重のユキヤナギは大変珍しいと思います。突然変異かもしれません。ユキヤナギに似たものとしてシジミバナがありますが、これは八重で、種子ができず、花の中央が窪み、シジミを連想させ、葉の裏表に毛が生えています。コデマリにも八重咲がありますがこれとも違います。開花後種子ができるか興味があります。写真をクリックし、拡大して見て下さい。スマホ撮影ですが。
八重咲のユキヤナギ:花びらは9~11枚。一番下の写真の右下の花です。
一重咲:5弁です。下の写真の左上の花です。
枝が二つに分かれ、右下方に見えるのが八重咲、左上に見えるのが一重咲の花です。見づらいので拡大してみて下さい。
ナナカマド:街路樹 [植物観察]
ナナカマド(七竈):バラ科の落葉高木。赤く染まる紅葉・果実が美しい。北海道、東北地方で街路樹として多用されている。山地~亜高山地帯に分布。果実は鳥のエサに、果実酒に用いられる。また、七回竈に入れても燃えないという、硬い材なので、極上の備長炭の原料とされる。
2月の極寒の時期に、函館、小樽、札幌に行ってきました。函館でまず気がついたのは、街路樹のナナカマドでした。白い雪と赤い実のコントラストが何ともいえませんでした。この時期まで実が残っているのは、不思議でしたが、実が完熟しないと鳥が食べない?そうです。
ナナカマドは多くの市町村の木に指定されており、北海道で特に多いです。街路樹のナンバーワンは、札幌ではナナカマド、二番目がイチョウになっています。函館ではプラタナスが一番で次いで多いのがナナカマドです。
舎人公園にもナナカマドが一本だけあり、毎年赤い実がみられたのですが、昨年伐採されてしまいました。
函館の夜景、植物など紹介させていただきます。スマホでの撮影です。クリックして拡大して見て下さい。
函館山から見た函館の夜景(薄暮)
函館山から見た函館の夜景
街路樹ナナカマド(函館市)
巨木ポプラ
大木カラマツ
旧青函連絡船摩周丸
氷のすべり台
冬の阿寒湖
舎人公園にただ一本の木:センダン [植物観察]
新しく購入したウインドウズ8での投稿です。
1943頃、私は鳥取県長瀬村の農家に育った。農家の庭なので農産物の乾燥・調整のため広い面積であった。その片隅に一本の大木、センダンが生えていました。子供の頃、このセンダンの樹皮を煎じて飲まされました。虫下しのためです。この木の黄色い実をムクドリ(方言でジュウジュ)がよく食べにきておりました。センダンの木は西日本に多く、海岸に多く植えられているのは砂防のためでしょう。
子供のころから印象に強いセンダンが舎人公園に一本だけありました。舎人公園の樹木はボランティアを通じて調べたところ200種程度です。そのセンダンは見つけた時は1m位の幼木でした。おそらくムクドリあたりが運び発芽したのでしょう。それから6年ほど経過し、現在は直径25cm位の大きな木に生長しました。ところが、舎人公園再整備のため、そのセンダンが切断されることになりました。舎人公園で一本しかない木でもあり、舎人公園サービスセンターのご協力により、移植していただきました。思いが通じた感じで嬉しかったです。
センダンについて調べてみました。
センダン:栴檀 ムクロジ目センダン科センダン属の落葉高木で、ヒマラヤが原産のようです。センダンの古名はおうち(アウチ)楝・樗。栴檀というのは飛鳥時代に渡来した白檀、紫檀、赤檀などの香木の総称で、これらは日本にない木です。センダンの名の由来は、インドで白檀のことをchandanあるいはSandalと呼ぶことからその発音が訛りセンダンとなり、紛らわしいですが栴檀の漢字が与えられたのです。現在日本で生育しているセンダンも漢字で書けば栴檀ですが、白檀、紫檀、赤檀とは別種です。インドでは5000年以前から国家の財産として、センダンの木のあらゆる器官・部位が利用されてきています。
センダンのわが国における利用:街路樹、庭木に、公園に栽植されます。樹皮は生薬の苦楝皮として駆虫剤に、材は建築、器具、用具に、果実は生薬の苦楝子として外用薬に利用されています。しかし、果実にはサポニンを含むため、食べると中毒を起こします。
前回本ブログで色々な樹木の葉痕について写真で紹介させていただきました。例えばオニグルミの葉痕はキリン?馬?の顔そっくりでした。今回取り上げましたセンダンの葉痕も見事な顔に見えます(写真下)。
センダンの葉痕:猿の顔?スマホでの撮影でピントが甘いです。
同じくセンダンの葉痕です。
樹木の冬芽と葉痕 [植物観察]
冬の植物観察で、面白いのは、樹木の冬芽と葉痕です。主に落葉樹で冬が近づくと枝と葉柄の付け根に離層が形成され落葉します。この葉(葉柄)が付け根から剥離したところを葉痕(維管束、すなわち導管と篩管の痕)といい、これを観察すると、種特有の形が見られます。人の顔、動物の顔に見えることもあります。肉眼で見るのには、葉(葉柄)の大きいほど見やすいです。常緑樹でも見られます。舎人公園などで観察した葉痕の主なものを写真で示しました。見てください。皆さんも落葉した樹木を観察されると面白いですよ。スマホで撮影したのですが、クリックして拡大してみてください。
クルミ:何に見えますか?
同じくクルミです
ホオノキです。すみません横向きで。
同じくホオノキです。新芽が大きく花芽でしょう。
マロニエ(セイヨウトチノキ):葉痕の姿が下の写真と異なります。
同じくマロニエ:ねばねばした新芽が帽子に見えます
ムクロジ:馬?犬?牛?の顔、新芽はまだ小さいです
トチノキ:マロニエに似ています
同じくトチノキです
カクレミノ(左)とタラノキ
フジ(左)とモクレン
ユズリハ(左)とユリノキ
舎人公園のヒガンバナの種子:種子生成の謎 [植物観察]
鳥取の湯梨浜町では昔シタマガリと言っていました。まれに白花があります。よく目にする白花はシロバナヒガンバナ(3倍体)で、ヒガンバナの近縁種です(シナヒガンバナとショウキズイセンとの雑種)。 どこにでも見られるヒガンバナですが、皆さん種子を見たことがありますか?ヒガンバナは3倍体で減数分裂が正常に行われないため種子出来ないとされています。牧野富太郎博士はヒガンバナの結実を見たことが無いと言っています。大正、昭和とヒガンバナの結実に関する研究が積み重ねられました。これらの結果を総括すれば、極一部種子ができるといえます。
最近の調査“神奈川県自然誌資料32(2011)”によると、自然状態での結実率(結実数/総花数)は0.3~0.01%程度です。以前の研究では、結実しても発芽しないという報告がありますが、本資料によると種子をチャック付きのビニール袋で4~7℃の条件で、播種まで保存した結果26%の発芽率を得ています。 では、何故3倍体のヒガンバナに種子ができたのでしょう?難しい問題ですが、自然界では膨大な数の花粉と胚嚢細胞が作られており、非常に確率は低いのですが減数分裂がうまく行われる染色体の組み合わせが何らかの原因でできるためと考えられています。
3倍体ができるメカニズムは2つあります。1:2倍体と4倍体が交雑した場合。2:2倍体の固体が何らかの原因で減数分裂が抑制され、通常の減数分裂が行われるX本の染色を持つ配偶子(精核または卵細胞)の代わりに非減数性の2Xの染色体を持つ配偶子が形成され、この配偶子がX本の染色体を持つ配偶子と受精し3Xを持つ種子となる場合。
見た目でヒガンバナそっくりのコヒガンバナ(シナヒガンバナ)rycoris radiate var.pumila があります。どちらも中国原産です。ヒガンバナとの区別点は開花が1ヵ月ほど早く、種子ができることです。コヒガンバナは正常に減数分裂が行われる2倍体なので種子はできます。 コヒガンバナはヒガンバナの変種とされていますが、上記の3倍体ができるメカニズム2の方法によって、2倍体のコヒガンバナから3倍体のヒガンバナが生まれたと推定されています。
舎人公園にも沢山ヒガンバナが生えています。これらの中から2個種子をとることができました。写真を示しました。冷蔵庫に保存して春になったら播いてみようと思います
ヒガンバナの種子は着生していません。
種子は着いていません。
種子は着いていますが、完熟するのか分かりません。
完熟した種子は一個採れました。
完熟した種子の種皮を剥いだところ。黒く実ります。
別の場所での結実状況。一個だけ種子ができています。
結実した一個の拡大写真です。
コヒガンバナの種子。
国営ひたち海浜公園のコキア [植物観察]
先日、国営ひたち海浜公園に行ってきました。総面積350haで、そのうち190haが現在開園しているそうです。トロッコ電車を思わせるシーサイドトレインに乗って一回り見物しました。見渡すかぎりのコキアには圧倒されましたが、残念ながら紅葉は終わり、茶色く変色していましたが雄大な風景でした。舎人公園では現在紅葉中です。コキアの種子は、加工してとんぶりとして市販され、畑のキャビアとも言われ珍味なのですが、これだけの面積でキャビアを作れば何トン?もできますね。とんぶりの作り方は本ブログで紹介されています。簡単に作れます。コキアは別名ほうき草ともいわれ、収穫後、地上部はほうき(箒)にも利用できます。
コキアのあとはネモフィラが計画されると思います。どちらもこぼれ種で無数に発芽します。現在ネモフィラが沢山生えていました。来春にはコキアが生えてくることでしょう。
本公園では、そのほかナタネ、ヒマワリ、チューリップ、コスモス、バラなど四季折々楽しませてくれます。自然の森では自然観察もできます。サイクリング、遊園地など盛り沢山でした。
シーサイドトレイン:快適でした。
巨大な観覧車もありました。
一面がコキアでした。種はありませんでした。
山一面がコキアでした。
コキアの説明がありました。写真は拡大できますが、ピンボケになると思います。
神代植物園で植物観察会 [植物観察]
先日神代植物園で、植物観察会が開かれました。目に留まった植物を紹介させていただきました。前回も見られましたが、今回もマヤランの開花に出会いました。珍しい花なので、ラッキイでした。
赤紫色のパンパースグラスの観察風景
お馴染みのパンパースグラス(巨大です)
イチゴノキ:ツツジ科の常緑低木。果実は食用になるが、美味しくない。
イヌビワ:クワ科落葉小高木。イチジクみたいに食べられる。
オニドコロ:ヤマノイモ科の多年草。正月には橙、昆布、串柿と共に飾って長寿を祝った。
シキミ:シキミ科常緑高木。昔から墓地、寺院に植え供えた。有毒。
スズメウリ:ウリ科一年草。実がカラスウリより小さいからスズメウリ。オキナワスズメウリの果実は綺麗。
タヌキマメ:マメ科一年草。毛で覆われている様を狸に見立てた。薬用植物。
ダンドボロギク:キク科一年草。名の由来は愛知県段戸山で発見されたことによる(1933年)。
ノシラン:ユリ科多年草。花の姿、葉脈が熨斗に似ているとか。
マルバフジバカマ:キク科多年草。色々な昆虫を花蜜が誘引する。
マヤラン:ラン科の多年草。名は最初の発見地神戸市摩耶山に因む。菌と共存する菌従属栄養植物(腐生植物)。絶滅危惧Ⅱ類。滅多にお目にかかれません。常緑林内に生育します。
ネズミノオの群生 [植物観察]
足立区の皿沼公園にイネ科ネズミノオ属のネズミノオ(多年草)が群生していました。舎人公園ではほとんど見かけないのですが、何故かこの公園に広がっています。朝から夕方まで日が差しており、ゲートボールや滑り台のある公園で、盆踊りも行われます。
細長い花序が鼠の尾に似ていることから種名がついたようですが、鼠の尾よりはるかに細長いのですが、なんとなく似ています。ネズミノオの変種にムラサキネズミノオがありますが、この場所のネズミノオの中に混じっていたかも知れません。
写真を拡大して見てください。
一面がネズミノオで覆われていた。
ネズミノオの姿。
ネズミノオの茎葉の部分。
ネズミノオの花序。
同花序拡大写真、子実が膨らんできた。
ネズミノオの花序を除いた姿。
足立区の野草・ポケットガイドが発行 [植物観察]
念願の足立区の野草・ポケットガイドが、あだちまちづくりトラストの助成を受けて今月発行されました。発行部数1000部で、このうち約半数は区立中学や図書館、関係部署などに寄贈され、残りを一部350円(印刷原価約500円)でご希望の方に販売される予定です。足立区で観察される主な野草341種類の写真と植物画に簡単な解説を付けました。内容は下の写真の目次のように豊富となりました。サイズはA6版でハガキ位の大きさで、厚さは4mm程です(96頁)。野草観察にご利用下さい。
入手申し込みは、舎人公園サービスセンター内のボランティアコーナで常時受け付けております(見本があります)。
写真をクリックして拡大すると綺麗に見えると思います。
表紙
目次
野草写真集の一例
野草写真集の一例
野草画の一例
色々なギシギシ類の見分け方
アヤメ・カキツバタ・ハナショウブの見分け方
道端の野草カナリークサヨシ [植物観察]
日本では江戸時代カナリアの餌として導入され、原産地は地中海沿岸とされています。飼育に使用した餌(カナリーシード)が野生化したのでしょう。たまに道端で見かけます。苞穎(ほうえい)は白緑で中脈が濃緑色でなかなか芸術的な穂といえます。イネ科植物でこれほど綺麗な穂は少ないと思います。カナリーシード(カナリークサヨシの種子)は栄養価が高く、珍重されています。
カナリークサヨシの生育状況 1
カナリークサヨシの生育状況2
一つの穂に種子が約100個着いていました。水稲も1穂に100程度の種子が着きます。カナリーシード100粒の重さは約1gで、米の約半分(コシヒカリで100粒重は約2.2g)でした。栽培条件により更に穂の大きさ、種子数・重の増加が望めます。
模様の綺麗な穂
一つの穂に種子が100粒ほどあります。写真左は穂。
メンデルのブドウの虫こぶ [植物観察]
舎人公園のメンデルのブドウに無数の虫こぶが形成されました。これは、ダニの被害で、その犯人はブドウハモグリダニという、0.2mm程度の微細なダニです。ブドウの葉裏に毛氈(もうせん)状でフェルトに似た虫こぶを作ります。大きさは直径3~10mmで葉裏の毛氈状部分は窪み、その分、葉の表がドーム状に膨らみます。このダニは毛氈状の虫こぶで隠れて生息しています。虫こぶ形成当時は白っぽい色をしていますが、古くなると茶褐色に変色し、このころではダニはいません。
虫こぶは年2回形成され、いずれも若い葉に被害をもたらします。冬芽で越冬した成虫が春の新葉に虫こぶを形成し、2回目は夏、毛氈状の虫こぶから移動したダニが新しく展開した葉に虫こぶを作ります。虫こぶの名前はブドウハケフシといい、虫コブ形成者はブドウハモグリダニ(フシダニ科)です。ヤマブドウやエビヅルにも寄生しますが、舎人公園では今のところメンデルノブドウのみに寄生しています。
虫コブのお話は本ブログ、2009年5月2日の記事をご参照下さい。
メンデルのブドウの生育状況(2013、6、13)
沢山のブドウ(果実)が成っています。野生のブドウなので、果実の球は小さいです
一面に虫コブが形成されている様子です
虫コブ形成状況
葉の裏に出来た虫こぶ(白い毛氈状の虫コブ)
葉の裏に出来た虫こぶ(古くなった虫コブ)
舎人公園で野草と樹木観察会 [植物観察]
2013年6月1日、舎人公園で野草と樹木の観察会が開かれました。講師は緑・花文化士の清水猛氏で、参加者は18名でした。舎人公園サービスセンターの大木所長さんから挨拶をいただいたあと、野草園で野草の観察を行いました。ウラシマソウ、ハンゲショウ、ミゾソバ、ママコノシリヌグイ、ウマノスズクサ、クサノオウ、クサフジなど多くの種類の解説がありました。ネズミムギとホソムギの見分け方では、小穂に禾(ノギ)があるのが前者、無いのが後者との説明でした。アレチギシギシ・エゾノギシギシ・ナガバギシギシの果実による見分け方も実物で確認しました。日本では不稔とされていますヒルザキツキミソウの稔った果実も頻度は少ないが確認されました。
樹木観察では、イヌシデ、ヤマモモ、エンジュ、マテバシイ、クスノキ、ホルトノキなどの観察をしました。メタセコイアとラクウショウの葉と果実による見分け方、トチノキ・ベニバナトチノキ・セイヨウトチノキ(マロニエ)の花と果実による見分け方、エノキとムクノキの葉と果実の見分け方なども紹介されました。サンシュユ、ヤマボウシの果実もありました。エゴノキのエゴノネコアシ(虫こぶ)も観察することができました。樹木の寄生が知られていないヤセウツボのアベリアへの沢山の寄生が見られました。ヤセウツボがアベリアに寄生する記事は本ブログで既に報告いたしております。
写真をクリックして拡大して見て下さい。
野草観察会の風景:写真左の紳士(大男?)が講師
野草観察会の風景:熱心に観察!?
樹木観察会の風景
ヤセウツボがアベリアに大量寄生している写真
ヤセウツボがアメリカフウロに寄生 [植物観察]
舎人公園野草園で、ヤセウツボがアメリカフウロに寄生しているところを、緑花文化士の清水猛氏が発見されました。ヤセウツボはマメ科、セリ科、キク科などの根から寄生根で養分を吸収すると最近出版された日本帰化植物写真図鑑などの書籍でも記載されています。また、web.検索でも同様です。などの根が何を指すか調べても分かりません。前回本ブログで”ヤセウツボがアベリアに群落寄生”という記事を投稿しました(2011、5、10)。果たして、ヤセウツボはどの植物でも寄生するのでしょうか?それは、NOだと考えられます。その根拠はヤセウツボの発生現場が証明してくれます。今回はアメリカフウロに寄生した写真を紹介させていただきました。
アメリカフウロはフウロソウ科の北アメリカ原産の越年草であらゆるところで見られます。写真をクリックして拡大して見て下さい。
アメリカフウロの開花結実期(2013年5月9日)
ヤセウツボがアメリカフウロに寄生しているところ(2013年5月9日)
ヤセウツボがアメリカフウロの根に寄生根を進入させて栄養(養分、水分)を略奪して、のうのうと生育している姿。ヤセウツボ:自身では光合成も水分吸収もしない完全寄生植物です。一年草ですが、無数の微細な種子を着生します。養分を略奪された寄主(宿主)植物は衰弱します。
コンニャクが開花・舎人公園 [植物観察]
昨年に続き今年もコンニャクが開花します。場所は舎人公園野草園で、周囲には、野原アザミ(開花中)、アーティチョーク、皇帝ダリアが植わっています。コンニャクの開花は今月15日前後と推定されます。開花後5~7日で萎みます。
コンニャクはインド原産とされ、花は4年物に着生し、雌雄異花で一メートル位になります。わが国の生産地では、開花する前の主に3年物を出荷しており、開花に至りません。コンニャクの花の記事は、本ブログで既に2回投稿しています(2012年5月2日と同年月11日)。ご参照下さい。
地下の頭大ほどの芋(根茎)から筍状の花芽が出てきました。4月30日。
今年の開花前の状態(5月8日)
昨年の開花状況
コンニャクの花のつくり(詳しくは2012年5月11日投稿分を見て下さい)。
タネツケバナとミチタネツケバナの見分け方 [植物観察]
市街地のどこでも見られるアブラナ科のタネツケバナ、実は殆どが外来種のミチタネツケバナで、在来種のタネツケバナはあまり見られません。
私の子供の頃は、苗代に稲の籾(種)を播く前に、藁で編んだ菰に籾を詰め、水田の水路にその菰を浸して発芽させました。タネツケバナの名の由来は、開花時期がちょうどこの頃になるので種漬花となったとされています。
タネツケバナは水田など湿気の多い場所を好んで生えます。タネツケバナもミチタネツケバナも果実(長角果)が稔ると、手で触るなどの刺激でパチパチと音を発しながらはじけて種子を放出します。ちょうど今頃、まだはじけていないタネツケバナ・ミチタネツケバナを見つけたら、指で触って見て下さい。面白いです。
足立区では、ほとんどがミチタネツケバナですが、たまにタネツケバナに出会います。ここでは、両者の見分け方を紹介させていただきました。しかし、固体の変異があり、あるいは両者の交配?で中間的な固体があるかも知れません。
果実を比較すると、タネツケバナ(左)はミチタネツケバナ(右)より角度が大きく、拡がった形をしています。
葉の形は次の写真を見て下さい。
生育初期にでた株元の葉(根生葉)は、結実期になると、タネツケバナではほとんど枯れて無くなっていますが、ミチタネツケバナには残っています(上の写真)。
写真では見えませんが、タネツケバナの茎には細かい毛が散生していますが、ミチタネツケバナは無毛です(但し根元で見られることがありました)。ルーペで見て下さい。
タネツケバナの葉は角張った感じがしますが、ミチタネツケバナの葉は丸まった形をしています。しかし、これも個体差があり、分かり難いことがあります(タネツケバナの上部葉は上位葉の間違いです)。
国立自然教育園の春の植物 [植物観察]
長年続いている、読売文化センター野外講座”花と緑をもっと知ろう”が、国立科学博物館付属自然教育園(港区)で開催されました。ここの生育環境は、舎人公園の太陽が照りつける野草園と異なり、林地の半日陰的な、山野草の生育に適した条件といえます。普段見ることの少ない植物をカメラに収めました。幾つか紹介させていただきました。
観察会の風景
アオイスミレ(葵菫):スミレ科多年草、春一番に咲くスミレ。
アズマイチゲ(東一華):キンポウゲ科多年草、イチリンソウの仲間。
アマナ(甘菜):ユリ科多年草、球根が甘く食用になる。
カタクリ(片栗):ユリ科多年草、鱗茎から片栗粉をつくる。
サルノコシカケ:無柄で傘が棚状になるキノコ。枯れた木や弱った木に生える。
イイギリに寄生していました。薬用で高価に取引されているようです。
クサノオウ(草の黄、王):ケシ科の越年草。
サルトリイバラ(猿捕茨):サルトリイバラ科の低木(以前はユリ科)、赤い果実のついた枝を
生け花に。棘で猿は捕れません。
ショウジョウバカマ(猩々袴):ユリ科多年草、花の名前の由来が面白いです。調べてみて下さい。
トラノオスズカケ(虎尾鈴懸):ゴマノハグサ科多年草、花序を虎の尾と山伏の鈴懸に例えた。
残念ながら、花序が見えません。開花は8~9月。
バイモ(貝母):ユリ科多年草、別名アミガサユリ(編笠百合)。
ユキワリイチゲ(雪割一華):キンポウゲ科多年草。群落で綺麗でした。
ラショウモンカズラ(羅生門葛):シソ科多年草、平安時代渡辺綱が付けた名前とか・・。
野草の季節はずれの開花 [植物観察]
冬だというのに、春~夏咲くはずの野草が舎人公園で開花していました。開花は12月ころから見られ現在(2月11日)も咲き続けています。場所はゆうひの丘の南斜面です。北斜面では見られません。陽だまり効果でしょうか。
咲いていたのは、ホトケノザ(図鑑の開花時期:3~6月)、ノゲシ(同4~7月)、オオイヌノフグリ(同3~5月)、ノボロギク(同5~8月)、カントウタンポポ(同3~5月)、ナズナ(同3~6月)です。ノボロギクの開花は通年とする例はありました。
現在、足立区の野草図鑑を作成中ですが、開花時期で悩まされています。陽だまりなど比較的暖かい場所では、多くの種で通年開花が見られます。地球温暖化も影響しているかもしれません。
ホトケノザ:広い面積で満開です
ノゲシ:1月下旬頃から咲き始めました
オオイヌノフグリ:陽だまり以外でも咲いています
ノボロギク:足立区では通年開花すると思われます
カントウタンポポ:舎人公園には結構多く本種が見られます
ナズナ:ところどころで見られました。
舎人公園のシモバシラの霜柱(2012年) [植物観察]
今朝の冷え込みで、いつもより早く、シソ科植物シモバシラに芸術的な霜柱が開花しました。霜柱が出来る仕組みは既に本ブログで取り上げていますので、詳しいことは参照してください。シソ科のシモバシラは宿根草で、冬には地上部は枯死しますが、根は生きています。枯れた茎の隙間(毛管)を毛管現象で根の水分が地上部に移行し、冷却されて氷が連続して出来るので、芸術的に仕上がります。綿菓子を思い浮かべます。
写真をクリックして拡大するとその美しさが良く分かると思います。
2012年12月10日朝9時40分のシモバシラの霜柱(撮影ツムラ)
舎人公園で秋の野草観察会 [植物観察]
舎人公園野草園で秋の野草観察会が開催されます。
同野草園では年間約200種の野草が観察され、多くの種に名札が付けられています。野草勉強に適するよう工夫されています。春の観察会に引き続き秋の観察会が開催されます。多くの方のご参加をお待ちしております。
観察会場所:舎人公園野草園、日時:平成24年11月11日(日)午前10時ー正午。小雨決行。当日自由参加で参加費無料。講師:清水猛(緑花文化士)、津村昭人(読売文化センター講師)。
野草以外では、皇帝ダリア、皇帝ヒマワリ、ヘビウリ(枯死前)、ボサギク、ホウキグサ、大輪ダリア、綿、アメリカンブルーなどが見どころです。
春の観察会の風景:講師は清水猛氏
夢の島熱帯植物館の植物 [植物観察]
月一回の読売文化センター野外講座”花と緑をもっと知ろう”が表記熱帯植物館で開催されました。熱帯植物館は温室なので、さぞ暑いだろうと思ったのですが、中は29℃で湿度も60%と外気温より快適でした。
普段目にすることの少ない熱帯~亜熱帯植物が豊富で、ゾウタケ、オオギバショウ、オヒルギ、ヘゴ、レッドジンジャー、ヒスイカズラ、そのほか小笠原の植物など多種多様でした。パパイヤが沢山成っていました。ランや食虫植物も豊富でした。セントポーリアが石垣に自然に近い条件で植えつけられていました。目に留まったいくつかの植物を紹介させて戴きました。
100年に一回咲き、枯死すると言われるアオノリュゼツランの説明風景
ヘリコニア・ロストラータ:バショウ科、赤・黄・緑に彩られた苞が大変美しいです。
ディコリサンドラ:ツユクサ科、巨大なヤブミョウガといった感じ。
サガリバナ:サガリバナ科、花は夜開いて朝には落ちるそうですが昼間でも残っていました。写した写真より、掲示されていた写真が見事でしたの拝借しました。
オオオニバス:スイレン科、直径3mにもなる大きな丸い葉。子供が乗れるとか。
オニバス:スイレン科、植物全体が鋭い棘から鬼の名が。葉は直径30~200cm。絶滅危惧種に指定されています。よく見ると開花しています。開花は珍しいそうです。拡大して見て下さい。
オキナワスズメウリ:ウリ科、珍しくもないのですが綺麗でした。
クズ:マメ科、帰る途中綺麗だったので写しました。