ウマノスズクサのジャコウアゲハによる食害

ジャコウアゲハの体内にはウマノスズクサの毒、アリストロキア酸(ウマノスズクサの学名アリストロキアから命名)を蓄積して保身しているが、アリストロキア酸は同時にジャコウアゲハの摂食刺激物質となる。そのため、ウマノスズクサの葉や茎と同様にアリストロキア酸を含有する卵、幼虫、蛹、卵殻および脱皮の抜け殻も幼虫の餌と見なされ食べられる。また、ウマノスズクサの抽出物をろ紙に吸い込ませると、ジャコウアゲハはそのろ紙に産卵する(京大)。これらの事実から、ジャコウアゲハの幼虫はウマノスズクサの葉と茎を区別しないで食べると推定される。ウマノスズクサに最初に産卵し、その幼虫が葉と茎を食べればウマノスズクサの一部は枯死する。さらに産卵が増えると幼虫数が増し食害が進行しウマノスズクサの地上部は殆ど枯死寸前に至る。このような状態で観察すると幼虫は必至に、生き残っている茎を食べていた。

ジャコウアゲハはやっとウマノスズクサを見つけたのでしょうか、毎日1~複数の成虫が産卵にやってくる。最近では、繁茂したウマノスズクサが枯死状態なので、周辺の小さなウマノスズクサ数か所の葉に産卵し続けている。約一月も産卵が続いています。このままでは、来年以降ウマノスズクサが野草園から姿を消す懸念があり、何らかの対策が必要です。

ジャコウアゲハの雌がウマノスズクサを見出す能力は前肢にそのセンサーがあるという情報があります(農林水産省農業生物資源研究所:蝶の味覚受容)。

気がついたこと:ジャコウアゲハは周囲に色々な花が咲いているのに何故かアレチハナガサの小さな花のみ密をあさっていました。ジャコウアゲハの雌を見つけてから一月ほど経過したのに、いまだ雄の姿を見ていません。

以下写真を紹介させていただきます。

ウマノスズクサ:一部枯死が見られる

8月17日(最初の産卵から一月後)の産卵の様子(数少ない小さなウマノスズクサにまで産卵)

産卵が全部で5個ありました

葉を食べている幼虫:終令(5令)?

かなり食害が進んでいます

茎を食べる幼虫

ほぼ全滅のウマノスズクサ

ほぼ全滅のウマノスズクサの奥に蛹(お菊虫)が沢山ありました。カマキリなどの外敵に見られない場所と判断?し、移動しないでその場で蛹化したのでしょうか。お菊虫は怪談皿屋敷のお菊由来(前回のブログを見て下さい)

アレチハナガサに集中して密を吸っていました。