ヒルザキツキミソウの結実と雨滴散布 

ヒルザキツキミソウは日本では結実しないとされています(保育社「原色日本帰化植物図鑑」、山と渓谷社「野に咲く花」)。朝日新聞社「世界の植物」、全国農村教育協会「日本帰化植物写真図鑑」などには結実の記述はありません。インターネット検索ではヒルザキツキミソウの種子は出来るとの記述はありますが、日本で結実したのか、結実の具体的な種子証明は見つかりませんでした。日本で発売されているヒルザキツキミソウの種子は中国からの輸入です。

  結実した果実(さく果)発見の糸口

舎人公園ボランティア花壇の一角に数年前からヒルザキツキミソウの群生地があります。本種は匍匐茎を伸ばして増殖するのですが、匍匐茎の届かないスポットでも個体数が増加していることに気がつきました。このことは、種子増殖しか考えられません。

ヒルザキツキミソウの開花期(6月下旬)に広く一面に蔓延った(約150平米)所々に結実した株を見つけました。その頻度は非常に少なく、注意して見ないと見過ごすくらいです。開花した大半は結実しないで脱落してしまいます。群落だからこそ見つけることができたのでしょう。

  

下記に観察記録写真を解説させていただきます。写真をクリックし拡大して下さい。

ヒルザキツキミソウの群落。

  

ヒルザキツキミソウの雨滴散布の説明

  

吸水処理前の果実。 

  

 吸水処理後の果実:果皮が4つに開く(前の写真と同一固体)。

    

吸水により、果実が開き種子がぎっしり詰まっていることを確認。

 

   種子が少し雨滴流出している。

    

アカバナユウゲショウの果実(果皮の先端がヒルザキツキミソウのそれより丸い味を帯びる)。