サクラタデ・シロバナサクラタデの異形花柱性



舎人公園野草園にはサクラタデ、シロバナサクラタデが現在開花中です。



その他、ヤナギタデ(ホンタデ)やアイが開花しています。今回はこれらの比較的珍しく価値の高いタデ科の植物を取り上げました。



 



はじめに、サクラタデ・シロバナサクラタデの異形花柱性について、その後ヤナギタデとアイを紹介させて頂きます。



著名な図鑑類で、サクラタデ・シロバナサクラタデは雌雄異株と記載されています。すなわち、雄蕊が長く雌蕊が短い花を雄花、その逆を雌花と区分していたのです。しかし、1996年シロバナサクラタデに関する平塚・中尾の研究「植物研究雑誌」(71,981041996)で花は雌雄異株ではなく異形花柱性であることを報告しております。その後西廣らにより、本種の異形花柱性に関する詳細な研究が行われました(19982000)。これはどういうことかと言いますと、これらの花には短花柱花と長花柱花の2形があり、短花柱花は雌蕊の長さが雄蕊よりかなり短く、雄蕊は花被(花びらに見える萼片)から突き出ています。長花柱花はこの逆で雌蕊は花被から突き出ます。このように、一つの花に雄蕊と雌蕊があり、種もできることが解明されたのです。同一株には1つの形の花のみを着けます。異形花柱性は被子植物で24科知られています。



以下写真でこれらの現象を紹介させて頂きます。さらに、ヤナギタデ、アイの開花も続けてご覧下さい。

サクラタデの開花:8本ある雄蕊が花びら(萼片)から突き出ており、短花柱花です。見ずらいですが、短い雌蕊が3個の別れた花柱があります。

図は雌蕊の模式図です。上の雌蕊は短花柱花(左)と長花柱花で、ともに3個の柱頭に分岐しています(サクラタデ)。下は短花柱花(左)と長花柱花でともに2個の柱頭に分岐しています(シロバナサクラタデ)。サクラタデは雄蕊の数は通常8本、雌蕊は3分岐時に2分岐するようです。シロバナサクラタデの雄蕊は6本(牧野植物図鑑では8本と記載)雌蕊は2分岐、時に3分岐)。

サクラタデ:花蜂らしき媒介昆虫がいました。

サクラタデ:ヒラタアブが盛んに蜜を吸っていました。上左の一つの花で8本の雄蕊が花被から突き出ています。この花は短花柱花です。

シロバナサクラタデの花:これも短花柱花です。短い雌蕊の2分岐が見とれます。

シロバナサクラタデの開花:これも短花柱花です。長い雄蕊は6本でした。

ヤナギタデ:一部開花していました。花はサクラタデ・シロバナサクラタデに比べて非常に小さいです。

ヤナギタデの花。ヤナギタデは香辛料に利用。かむと辛いです。

ヤナギタデの花の拡大写真。

アイの開花:アイは染料に利用される。

アイの花の拡大写真。