冬の珍しい植物(新宿御苑) [植物観察]
本ブログも2007年9月から2年4カ月経過しますが、お陰様で総
閲覧数の累計は52000に達しました。今後ともよろしくお願いい
たします。
冬の珍しい植物(新宿御苑)
月一回恒例の植物観察会(読売・日本テレビ文化センター講座)が、新宿御
苑で開催されました。普段見慣れない植物数種を紹介させていただきまし
た。
観察会の風景
ナンバンギセル(南蛮煙管):ハマウツボ科ナンバンギセル属一年草の寄
生植物で、西洋(南蛮)の煙管に似ている。別名オモイグサ(思草)は万葉集
で詠まれた思い草に因む。ススキに寄生することが多いが、チガヤ、サトウキビ、ミョウガなどの根に
も寄生します。茎は極短く地下にあり、葉は鱗片状で小さい。茎のように見
える15~25㎝の花柄の先に淡紅紫色の筒形の花を開く(写真)。果実の飛散
しやすい多数の超微細な種子は、寄主の根に付着して発芽する点では、以前
このブログで取り上げたヤセウツボ(2008-05-11)と似ています。
写真左は冬のナンバンギセル。右は夏のナンバンギセル(開花)。
イノコズチ(猪子槌)の虫こぶ。
イノコズチ(日陰)、ヒナタイノコズチ:ヒユ科イノコズチ属多年草。猪子槌のいわれは、四角い茎の膨れた節をイノシシの子の膝頭(槌)に見立
てた。が、普通の節はそれ程大きくはない。たまにひと際大きい節を見かけ
ます。これガ、虫こぶです。イノコズチクキマルズイフシといわれ、イノコズ
チウロコタマバエの仕業です。写真はヒナタイノコズチですが、節には穴が
あいており、既に成虫となって飛び去ったことでしょう。節の中にはハエの
幼虫が住んでいるのです。虫こぶの詳しい説明はこのブログ(2009-05-02)
をご参照下さい。
写真左上:イノコズチの虫こぶ。大きい写真はヒナタイノコズチ。果実はひっつき虫。
セントウソウ(仙洞草):セリ科の多年草で、一属(セントウソウ属)一種の在
来種。日本各地の林地などの木陰にはえる。別名オウレンダマシ(葉がオウ
レンの葉に似ている)。白い花は春。
半日陰に生えるセントウソウ。
オオハナワラビ:シダ植物。ハナワラビ科オオハナワラビ属の多年草。夏
地上部は枯れ、9月頃直立の茎が伸び、地表で二分し、栄養葉と胞子葉に
別れて生育します。胞子葉は10~11月頃成熟した胞子を飛ばします。類似
のフユノハナワラビは個体数が少なく、やや日向を好むようです。
半日陰に生えるオオハナワラビ。
サイカチ:マメ科サイカチ属の樹木。舎人公園にもあるハリエンジュ(ニセ
アカシア)やエンジュに似ているが、幹や枝に分岐した鋭い大きな棘が多
い。豆果は長さ30㎝にもなり捩れる。豆果は薬用になり、昔は石鹸の役目
を果たした(サポニンを含む)。
サイカチの大木。写真が逆光ですみません。水元公園にも大木があります。
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