舎人公園のお菊虫 [舎人公園の昆虫]
ジャコウアゲハの蛹は「お菊虫」と呼ばれますが、その理由は怪談『播州皿屋敷、江戸では番町皿屋敷』のお菊に起因します。皆様ご存知のように、お菊が大切な皿を一枚割ってしまったため、手を後ろに縄で縛られてつるされ殺されました。その後何故か、寛政7年(1795年)のこと、播磨国姫路城下に手を後ろに縛られた女性に似た虫の蛹が大発生したそうです。これを見た城下の人々は姫路城で殺されたお菊の幽霊が、虫の姿を借りてこの世に帰ってきているのだと噂したと言われています。このお菊虫は現在ではジャコウアゲハの蛹と推定されています。ジャコウアゲハの蛹を下の写真からも見られるように人が縛られている姿に見えます。実に不思議な姿をした蛹です。因みに姫路市ではジャコウアゲハを市の蝶に指定しているそうです。
ご参考までに、蝶の蛹の形は、1)頭を下に垂れ下がる方法、2)紐を背にかけて枝に自分の体をくくりつける方法があります。1)を垂蛹(すいよう)、2)は帯蛹(たいよう)と言います。蝶の蛹は垂蛹になるか、帯蛹になるかのどちらかですが、成虫の脚の数で決まります。蝶の種類により4本に見えるものと6本に見えるものがあります。本来脚は前脚、中脚、後脚と6本ありますが、4本脚に見えるのは、その内の前脚が良く見えないのと、歩行に使ってないからです。4本脚グループが垂蛹になり、6本脚グループが帯蛹になります。アゲハチョウの仲間は6本脚です。
ジャコウアゲハの卵、幼虫、成虫(♀)
お菊虫:白い糸で固定されている(縛られている!)。黒い髪毛様に固定される場合もあります。お菊さんに似ているとか?
カラタネオガタマの木で蛹化
バラの木の蛹:蛹の色が上の写真と違います。保護色でしょうか?
食草ウマノスズクサで蛹化:黒い糸(髪毛?)で縛られています。首に巻かれています
正面から見た姿:黒い糸(髪毛?)で縛られています
野草園の掲示板で蛹化した蛹:ここでは茶色の沢山の糸(髪毛様)で固定(縛られ)されています。パウチされた透明でつるつるした素材なので固定するのに沢山の糸が必要だったのでしょう
上の写真を横から見たところ
人工飼育され、蛹化した蛹:色々な顔?をしています
ジャコウアゲハ舎人公園に登場 [舎人公園の昆虫]
今年7月、長年待ち焦がれたジャコウアゲハが飛来し、ついに産卵いたしました。ジャコウアゲハの食草であるウマノスズクサの栽培は5~6年経過しましたが飛来する気配がありませんでした。今年はウマノズズクサを刈り取らないで蔓延させてやりました。そのせいでしょうか、数日間ジャコウアゲハが野草園で飛び回っていました。繁茂したウマノスズクサの根元付近の葉の裏を見ると卵や幼虫が確認されました。来年も来てくれるといいのですが。以前、野草園のカラムシに黒いグロテスクなアカタテハの幼虫が無数いたのですが、翌年は全く見られませんでした。
ウマノズズクサ:ラッパ状の花が珍しい。
飛来してきたジャコウアゲハの雌
ジャコウアゲハの卵:1.5mm程度(ピントが甘いです)
幼虫が3匹見えます(ピンボケですみません)
茶色の幼虫です
黒い幼虫です:ジャコウアゲハの幼虫は体色に個体差が大きく、また、体色も変化(黒→赤褐色→黒)するそうです(筑波大学BSリーグ通信第13号:2009年)。
舎人公園にアカボシゴマダラが出現 [舎人公園の昆虫]
2013年7月20日、舎人学習センター主催の親子植物観察会が舎人公園で開催されました。その講座の途中、講師の清水猛氏がアカボシゴマダラがいるのを見つけられました。本蝶は要注意外来生物に指定されています。但しアカボシゴマダラ奄美亜種は準絶滅危惧(NT)に指定されています。
アカボシゴマダラは2008年2月18日の朝日新聞夕刊に、この蝶の繁殖により生態系が混乱する懸念のあることが紹介されています。本蝶はゴマダラチョウやオオムラサキと同じくエノキを食草としているからです。何故中国産のアカボシゴマダラが関東で突如として出現したのか謎となっていますが、人為的な放蝶(放蝶ゲリラ)の可能性が高いと言われています。舎人公園にはエノキの木が沢山あります。果たして繁殖するでしょうか。
タテハチョウ科コムラサキ亜科アカボシゴマダラ属
同じ仲間のゴマダラチョウ(2005年撮影:舎人公園にて)
アカボシゴマダラ2012年7月20日撮影:舎人公園にて。♂か♀か分かりません。♀は♂より一回り大きい(図解日本の蝶:国立科学博物館)。
羽を広げた状態:綺麗な蝶ですが・・・
舎人公園のトンボ [舎人公園の昆虫]
舎人公園のトンボ
今年観察されたトンボを愛好家(新井・松崎両氏)のご協力で紹介させていただきました。 舎人公園には、トンボの種類が23区内の他の公園より多いそうです。オニヤンマのいないのが残念です。
クリックするとよく見えます。
アオイトトンボ
ギンヤンマ♂
コシアキトンボ
コフキトンボ♂♀(オビ型)♂
ショウジョウトンボ
チョウトンボ♀
オオシオカラトンボ♀
舎人公園にアヅチグモが出現 [舎人公園の昆虫]
舎人公園にアヅチグモが出現
舎人公園で初めてアヅチグモが見つかりました。体長数mmで小さく、黄色で角ばった蟹形のくもです。
ご参考までに、体長は胴体(頭胸部と腹部)の長さで脚部を除き、全長は脚部を含みます。
アヅチグモ(安土蜘蛛):カニグモ科アヅチグモ属。似たものにガザミグモ、ハナグモがあります。体長は♀7mm前後、♂は3mm前後と小さい。葉や花の上でチョウやハチなど自分より大きい昆虫を捕食します。都市部では珍しいようです。肌色は黄色~白と擬態を示します。日本には900種類以上のクモがいて、半数近くは網を張らないで徘徊して獲物を捕食していると言われています。
コガネグモ(黄金蜘蛛):コガネグモ科コガネグモ属。♀は体長2cmとクモとしては大型で、♂は♀の5分の1位。巣(網)の上に白くて太いジグザク模様(隠れ帯、白帯)をつける。舎人公園野草園で毎年出会います。
ナガコガネグモ(長黄金蜘蛛):コガネグモ科コガネグモ属。♀は体長2~2.5cmとクモとしては大型で、♂は8~12mmくらい。巣はコガネグモ同様縦にジグザク模様(隠れ帯、白帯)をつける。舎人公園野草園で毎年出会います。
ジョロウグモ(女郎蜘蛛):アシナガグモ科ジョロウグモ属。♀は体長1.7~3cm位でクモとしては大型、♂は6~13mm。♀の腹部には黄色と緑青色の横縞模様があり、腹部下方には鮮紅色の紋がある。今年は野草園で亜成体を見つけました。
写真はクリックすると拡大できます。
アヅチグモ♀ボランティア本多さん発見、撮影は鳩ヶ谷の新井さん。
コガネグモ♀舎人公園野草園で見られます。
ナガコガネグモ♀、舎人公園野草園で多く見られます。
ナガコガネグモ♀、アブラゼミを捕食中。
ジョロウグモ♀、舎人公園野草園で撮影
ジョロウグモ亜成体、舎人公園野草園で撮影
蝶の吸水と放水 [舎人公園の昆虫]
蝶の吸水と放水
蝶の吸水と放水の写真を提供して戴きました。なかなか見られない貴重な瞬間を撮影されたものです。季節外れですが、この場でご紹介いたします。
蝶の吸水は時折見られる光景です。その目的として、夏の高温時に体温を下げるため、ミネラル補給?などが推定されていますが、よく分からないようです。吸水するのはオスが多いとも言われています。
放水は吸水したものを体温低下の目的で放出するとされていますが、果たしてそれだけでしょうか?
下の写真は、いずれも、舎人公園で撮影されたものです。
ナミアゲハとアオスジアゲハの吸水行動(夏場)
撮影:高橋勝司氏
ルリタテハの放水:その瞬間を捉えた傑作
撮影:佐藤健吾氏
舎人公園にナガサキアゲハ登場 [舎人公園の昆虫]
ナガサキアゲハが舎人公園に出現
日本では九州など南方系に生息しているチョウ “ナガサキアゲハ” が、地球温暖化の影響とも考えられる気候の変化のせいか、最近、千葉県や神奈川県など関東地方でも観察されるようになり、話題になっています。写真は、今年9月に舎人公園で撮影されたものです。幼虫の食草は柑橘類だそうですが、これから気をつけて観察しようと思います。日本産の黒いアゲハの仲間でしっぽ(尾状突起)ほ無いのは本種だけだそうですので素人にも直ぐ分かると思います。 また美しいルリタテハも撮影されました。このルリタテハの写真を注意深く見て下さい。なんと、排尿中の珍しい瞬間が撮影されています。
ナガサキアゲハ♂
きれいに撮影されました(撮影:佐藤健吾氏)、舎人公園大池近くで
ナガサキアゲハ♂ 撮影:佐藤健吾氏、舎人公園大池近くで
ルリタテハ(排尿中にて失礼します)舎人公園にて(撮影:佐藤健吾氏):黒字に ルリ色の帯がきれいですね。
舎人公園のトノサマバッタ [舎人公園の昆虫]
舎人公園のトノサマバッタ
トノサマバッタ(殿様飛蝗・ダイミョウバッタ):不完全変態:さなぎを欠き幼虫の脱皮を繰り返し成虫になる。
舎人公園には広い草むらが多く、色々な昆虫が沢山見られます。高校の教科書生物Ⅱに興味ある記事がありました。それは、環境の変化で大きさや形態に変化が生じるトノサマバッタの記事でした。舎人公園にいるトノサマバッタは下の写真のように、緑が美しく、身体が大きく、後脚の長い姿をしています。これは密度が低い環境で育ったもので孤独相(単独相)のトノサマバッタというそうです。つまり、イネ科の植物を食べるバッタには、餌はふんだんにあり、のんびりくらしているのでしょう。ところが、日本では現在あまり見られない光景ですが密度が高い環境で育ったものを群生相(集団相)のトノサマバッタと呼び、これは、身体は小さく、集団性に優れ、翅が長く(後脚が短い)、飛翔能力が高く、長距離移動に適していて体色が黒ずみ、この辺で見られるものとは別種のような様相をしています(残念ながら写真はお見せできません)。生来トノサマバッタには緑色型と褐色型の2つのタイプがあるのですが、住む環境により保護色に変化するのでしょう。中央アジアなどでは、群生相が一旦発生すると大群をなして移動するようになり、飛蝗(ひこう)と呼ばれ、田畑の作物を襲って1日程で全滅させてしまうことがあります。日本でも以前このバッタが飛蝗と化し、作物に大きな被害が出たことがあったようです。
環境の変化で形態に変化が生じるアブラムシもおもしろい。成虫になっても羽の無いアブラムシは遠くに移動できないため、過密状態になると植物から汁を吸うことが出来なくなり、死の危機に陥ります。このストレスがホルモン分泌に影響するためでしょう、羽の無い親から羽のある子供が生まれるそうです。羽のあるアブラムシは新天地を求めて移動し、新たな植物に寄生し子虫を産み始めるのです。不思議なことに、羽のある親から産まれた子虫には羽が生えず単為生殖で子虫を産み増殖します。春から秋頃では雌だけで繁殖(単為生殖)して世代を繰り返すことが多いようですが、秋になると不思議に雄が産まれ交尾をして〈両性生殖〉卵で越冬するそうです。成虫や幼虫でも越冬できます。(アブラムシの不思議な話参照:舎人公園ボランティア資料)
最近舎人公園で見られる虫を幾つかご紹介させていただきます。2番目の写真はアブラムシとその天敵のヒラタアブの幼虫。3番目の写真はショウリョウバッタの雌雄。4番目の写真はショウリョウバッタの雄の脱皮〈抜け殻〉。 5番目の写真はナガコガネグモ(メス)
トノサマバッタの雌:舎人公園
アブラムシとその天敵のヒラタアブの幼虫
ショウリョウバッタの雄と雌:舎人公園
ショウリョウバッタの抜け殻(脱皮):舎人公園
ナガコガネグモの雌:舎人公園
チョウトンボが舞う舎人公園 [舎人公園の昆虫]
低空を蝶のようにひらひら飛ぶトンボ、それはチョウトンボです。飛び方が蝶のよう にひらひら飛び、羽を開いた時、後ろの羽が大きく、まるで蝶を思わせるからです。その姿は金属光沢のある黒く大きな翅が、光をあびると金色、空色、緑色、紫色など七色の虹のように輝き、なんともいえない美しさを持っています。
舎人公園には抽水植物と呼ぶヨシやヒメガマが生い茂り、チョウトンボの生育環境として良いようです。6から8月になると大池周辺に現れはじめ、しだいにボランティア花壇の方まで飛んできます。
舎人公園では5~6年前頃から見られるようになり、年々増加傾向にあり、今年は特に多く観察されます。近年、農薬の影響などで激減し、県によっては準絶滅危惧種に指定されています。
何故この公園でこんなに増えてきたか興味があるところです。
幼虫(ヤゴ)はアキアカネとシオカラトンボの中間大で、水の中でボウフラなどを食べるそうです。
成虫は蚊や蠅などの小さな虫をとって食べるようです。
この他にも、コシアキトンボ、ショウジョウトンボ、ギンヤンマなど色々なトンボが見られます(本ブログの初期の記事に舎人公園で観察されたトンボの写真の記載がありますので併せてご参照下さい)。
低空を舞うチョウトンボ
そのアップ写真
止まっているチョウトンボ
舎人公園で観察されたチョウ [舎人公園の昆虫]
舎人公園の昆虫(除チョウ) [舎人公園の昆虫]
舎人公園には、コシアキトンボ、ショウジョウトンボ、チョウトンボ、トノサマバッタ、オンブバッタ、ショウリョウバッタ、イナゴ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシその他実に豊富な種類の昆虫が生息しています。子供さんと一緒に昆虫採取に来られませんか。
トノサマバッタ
ショウリョウバッタ
ショウリョウバッタ:オス、メス
オンブバッタ
イナゴ
チョウトンボ
コシアキトンボ
ショウジョウトンボ
シオカラトンボ
アジアイトトンボ
アキアカネ:メス
ノシメトンボ
ノシメトンボ:交尾
アブラゼミ:幼虫
アブラゼミとミンミンゼミ(左)
オオカマキリ
ナガコガネグモ
ジョロウグモ
コガネグモ