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舎人公園のヒガンバナの種子:種子生成の謎 [植物観察]

ヒガンバナ(彼岸花、マンジュシャゲ):ヒガンバナ科ヒガンバナ属の全草有毒性球根植物、多年草、rycoris radiata。なじみの深い花で、方言が最も多い植物といわれ、その数1000以上が知られています。

鳥取の湯梨浜町では昔シタマガリと言っていました。まれに白花があります。よく目にする白花はシロバナヒガンバナ
(3倍体)で、ヒガンバナの近縁種です(シナヒガンバナとショウキズイセンとの雑種) どこにでも見られるヒガンバナですが、皆さん種子を見たことがありますか?ヒガンバナは3倍体で減数分裂が正常に行われないため種子出来ないとされています。牧野富太郎博士はヒガンバナの結実を見たことが無いと言っています。大正、昭和とヒガンバナの結実に関する研究が積み重ねられました。これらの結果を総括すれば、極一部種子ができるといえます。

最近の調査“神奈川県自然誌資料32(2011)”によると、自然状態での結実率(結実数/総花数)は0.3~0.01%程度です。以前の研究では、結実しても発芽しないという報告がありますが、本資料によると種子をチャック付きのビニール袋で4~7℃の条件で、播種まで保存した結果26%の発芽率を得ています。 では、何故3倍体のヒガンバナに種子ができたのでしょう?難しい問題ですが、自然界では膨大な数の花粉と胚嚢細胞が作られており、非常に確率は低いのですが減数分裂がうまく行われる染色体の組み合わせが何らかの原因でできるためと考えられています。 

3倍体ができるメカニズムは2つあります。1:2倍体と4倍体が交雑した場合。2:2倍体の固体が何らかの原因で減数分裂が抑制され、通常の減数分裂が行われるX本の染色を持つ配偶子(精核または卵細胞)の代わりに非減数性の2Xの染色体を持つ配偶子が形成され、この配偶子がX本の染色体を持つ配偶子と受精し3Xを持つ種子となる場合。  

見た目でヒガンバナそっくりのコヒガンバナ(シナヒガンバナ)rycoris radiate var.pumila がありますどちらも中国原産です。ヒガンバナとの区別点は開花が1ヵ月ほど早く、種子ができることです。コヒガンバナは正常に減数分裂が行われる2倍体なので種子はできます。 コヒガンバナはヒガンバナの変種とされていますが、上記の3倍体ができるメカニズム2の方法によって、2倍体のコヒガンバナから3倍体のヒガンバナが生まれたと推定されています。 

舎人公園にも沢山ヒガンバナが生えています。これらの中から2個種子をとることができました。写真を示しました。冷蔵庫に保存して春になったら播いてみようと思います

ヒガンバナ種子A地区6.jpg 

ヒガンバナの種子は着生していません。  

 ヒガンバナ種子A地区2.jpg

 種子は着いていません。

 ヒガンバナ種子A地区4.jpg

種子は着いていますが、完熟するのか分かりません。

ヒガンバナ種子A地区5.jpg

完熟した種子は一個採れました。

ヒガンバナの黒い種子.jpg

  完熟した種子の種皮を剥いだところ。黒く実ります。

ヒガンバナ種子B地区.jpg

別の場所での結実状況。一個だけ種子ができています。

ヒガンバナ種子B地区2.jpg

結実した一個の拡大写真です。

コヒガンバナ種子.jpg

コヒガンバナの種子。

 


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