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図鑑にない野草 [植物観察]

図鑑にない野草

 恒例の読売文化センターの講座“花と緑をもっと知ろう”は、開始の2003年10月8日の第一回(舎人公園)以来53回を迎え(年10回の講座)6年目となりました。このように長く続くとは夢にも思いませんでした。これも、講師の綿引寿三郎さんの博識と説明のうまさによるところです。私の役はアシスタントで、いても、いなくても講座に支障はなく、自由気ままに楽しませていただいております。今月11日にこの講座が小石川植物園で開催されました。今回は、図鑑にほとんど掲載されていない普段目にすることのない野草3種を紹介させていただきました。

1)チャボタイゲキ(矮鶏大戟) トウダイグサ科、トウダイグサ属の一年草

 小石川植物園には下の写真のように群落を形成していました。この寒い時期でも花は咲いていました。類似の野草として舎人公園にはトウダイグサ〈燈台草〉がありますが、花は似ており杯状花序(燈台状)となっており、大変珍しい形をしています。漢字の名前も難しいですが、その由来は矮鶏(チャボ)は小さいことの意味で、大戟(たいげき)」は武器のホコで、中国で灯台草(とうだいぐさ) のことを指すようです。綿引寿三郎さんの植物図鑑(現在6791種掲載)を引用させていただくと次のような記述がありました。地中海沿岸地域原産の植物で、現在本州の関東以西から九州にかけて野生化している帰化植物。トウダイグサの仲間で、日本に自生するタカトウダイやナツトウダイなどに似ているが、ずっと小型である。自分も小石川植物園で初めて見かけた時、正体がわからなかった。最近帰化植物図鑑をみてようやく正体が判明した。自分の身近にも以外と知らない外国の植物が入り込んでいるのだなと改めて感じた。東京では今のところ小石川以外ではほとんど見かけないようだ。

2)コゴメイヌノフグリ(小米犬の陰嚢): ゴマノハグサ科、クワガタソウ属 の1~2年草

 小石川植物園が1961年にヨーロッパとの種子交換で手に入れたものが最初のようで、下の写真のようにこの時期に園内でたくさん咲いており、気候風土が合うようです。真っ白な可愛くて小さな花を付けるので小米(コゴメ)、草はイヌノフグリ状でコゴメイヌノフグリと1995年に命名されたようです。因みに、小石川植物園には、和名の無い植物が多々見受けられます。葉はどこにでもあるフラサバソウに似ていますが茎などに毛が多く、花が白いので区別点できます。 小石川植物園独自の野草ともいえますが、最近は都内の逸出があるようです。イヌノフグリとは漢字で書けば、犬の陰嚢(ふぐり)。これは花後の果実が犬の陰嚢に似ているからですが、だれがこんな名前をつけたのでしょう。クワガタソウ属のオオイヌノフグリ、イヌノフグリ、タチイヌノフグリ、フラサバソウの果実(蒴果)はいずれも犬の陰嚢(ふぐり)に似ていますが、それも色々な形をしております。

3)ユキワリイチゲ(雪割一花):キンポウゲ科、イチリンソウ属の多年草

 

 同じ仲間のキクザキイチゲ、アズマイチゲ、セツブンソウなどが早春に見られますが、ユキワリイチゲはそれらに先立って咲くそうです。なじみの深いイチリンソウ、ニリンソウも同じ仲間です。名前の由来は雪の残る早春に咲くから。

  綿引さんの植物図鑑はjusa's Gardenまたはhttp://www.linkclub.or.jp/~jusa/で検索して下さい。

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チャボタイゲキ:葉が赤く冬目立つ。花は小さく地味:2009年2月11日撮影。

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チャボタイゲキ:このように群落を形成。ここでしか見られない光景でしょう。

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コゴメイヌノフグリ:冬咲いているのが珍しい。葉はフラサバソウに似る。09年2月11日撮影。-2fee9.jpg 

コゴメイヌノフグリの蒴果・果実(フグリ)。大きさは数mm。

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ユキワリイチゲ:2009年2月11日撮影


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