野草の冬の姿 : ロゼット葉 [舎人公園での植物観察]
野草の冬の姿 : ロゼット葉
ロゼットという言葉をよく耳にします。語源は、英語のRosetteで、辞書によるとリボンなどのばら飾り(結び)、ばらに似た物、ばら形装飾、円花飾り、植物葉が地面に放射状に広がったものとあります。八重咲きのばらの花を上から見た姿を想定しており、植物のこのような姿をロゼット(ロゼット葉の集合)あるいはロゼット葉(rosette leaf)と言っています。そのような葉を根出葉(radical leaf:下記に説明)と呼び、地表面に張り付いているタイプのみならず、やや立ち上がっているものもロゼット葉に含めるようです。
舎人公園で見られるロゼットには、終生根出葉で、ロゼット状のもの(オオバコ、キランソウなど)と越年草に多く見られる、冬ロゼットを形成するもの(ヒメジョオン、ハルジオン、オオアレチノギク、ヒメムカシヨモギ、アキノノゲシ、アメリカオニアザミ、メマツヨイグサ、ウラジロチチコグサなど)に分けられます。後者の冬ロゼットを形成する種は、冬の寒さに耐えられるように地表に放射状に張り付け、しかも多く受光できるように広く葉を広げています。これらは春になると茎が伸びて花を着けます。このとき、伸びた茎にも葉をつけ茎葉を形成する(茎生葉:cauline leaf)ものが多いのですが、タンポポは茎が伸長して開花し、茎葉をつくりません。多くの種はロゼッロ葉の中心から茎葉が発達すると根出葉を消失する(例:ヒメジョオン)が、花期でも残る(例:ハルジオン)種もあります。
根出葉(こんしゅつよう) : 節間が極端に短縮した地上茎の基部に着生した葉で、あたかも根から生じているように見える葉。
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アメリカオニアザミ:鋭い棘を持つ。
オニノゲシ:ノゲシより手触りが粗い。
カントウタンポポ:どのタンポポも冬のロゼットを形成。
メマツヨイグサ:この仲間も冬のロゼットを形成。
ヘラオオバコ:繁殖力が強く一面に拡散する。年間根出葉のみだが、寒さに耐える冬のロゼットを形成している可能性がある。ツボミオオバコも同様に感じる。
キランソウ:一年中ロゼットを形成する。冬のロゼットとは異なる。オオバコも同様で、根出葉のみで過ごす。
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