明治神宮御苑にて [植物観察]
6月11日、月一回開催される、読売(日本テレビ)文化センター講座”花と緑のウォッチング”が明治神宮御苑にて行われました。この講座も、5年連続のロングセラーとなりました。今回は、この講座初になる神宮御苑で行われました。見どころは花ショウブでした。ここの菖蒲田は、明治天皇が皇后のために植えさせたそうで、全国から優良品種を揃えたようです。平日にも関わらず大勢の見学者がいました。
”いずれがアヤメかカキツバタ?”: どちらも美しく区別が付けがたい時に使う言葉のようですが、アヤメ、カキツバタ、ハナショウブの見分け方を勉強してきました。いずれもアヤメ科で以下のような違いで区別するそうです。
アヤメ:(花)弁元は淡黄色、まわり白色で紫色の筋があり網目模様になっている。
カキツバタ:弁元に細長く白い筋、花は葉より低い位置に咲く。
ハナショウブ:弁元は黄色い、花は葉より高い位置に咲く。
集合写真は、講座の方々で綿引さんが説明役です。この御苑には、沢山の種類の樹木や野草が生育していますが、そのうち2つの野草を紹介させていただきます。一つは、ホウチャクソウ:宝鐸(お寺の堂の四隅の軒に下げた鈴)に似ている筒形の花を着け、ナルコユリに似ています(ユリ科)。も一つは、ハエドクソウ:草全体に有毒物質を含み、根をすりおろした液を紙に染み込ませ、ハエ取紙を作ったそうです。前回の記事でも1科1属1種の植物(和名の無い木:ブレッシュネイデラ・シネンシス)を報告しましたが、本種も1科(ハエドクソウ科)1属1種だそうです。
最後に本講座に興味のある方のご参加をお待ちしていまーす。
花と緑のウォッチング講座のみなさん:前列黒帽の方が綿引講師
菖蒲田の見物風景
ハナショウブ:弁元は黄色い、花は葉より高い位置に咲く
ホウチャクソウ(宝鐸草):花が宝鐸に似ているが、花期は終わっていた
ハエドクソウ(蠅毒草):広い世界で1科1属1種の珍しい植物(大きい白花はドクダミ)
和名の無い木:ブレッシュネイデラ・シネンシス [植物観察]
5月14日、読売日本テレビ文化センター講座”花と緑をもっと知ろう”が小石川植物園で雨の中開催されました。講師で緑・花文化士の綿引寿三郎さんが観察の目玉、和名の無い木:ブレッシュネイデラ・シネンシスについて説明されました。大変珍しい植物です。外観は一見オニグルミ、ヌルデに似ておりました。ムクロジ目:Bretschneideraceae だそうです。
1978年発行の週間朝日百科”世界の植物”には記載されていませんが、その後発行の同世界の植物には取り上げられているそうです。以下この植物の解説を綿引寿三郎作成講座テキストより引用させていただきました。
ブレッシュネイデラ・シネンシス(Bretschneidera sinensis) 小石川植物園では5月の初旬にハンカチノキがニュースになり、たくさんの入場者が来ますが、そのハンカチノキよりさらに珍しい植物がこのブレッシュネイデラです。名札にはまだ日本名はついておらず、日本の文献にもほとんど載っていない植物です。手もとの資料で唯一掲載されているのが「週刊朝日百科 植物の世界」でした。それによるとこの植物はブレッシュネイデラ科ただ1つの種で、1科1属1種という大変珍しい植物だということがわかりました。中国西南部からベトナム北部にかけての山岳地帯にしか生育していないとされていましたが、1981年に台湾でも自生が確認されたそうです。1科1属1種ということは、他のどの植物にも類縁関係が見られないということで、謎の植物だとゆうことが言えます。小石川植物園には同じく1981年に上海植物園から種子をゆずりうけ、それを育成したところ、最近開花するようになったということです。花は白い大きめの花を総状につけます。確かに独特の形状をした花で、似たものはあまりありません。観賞価値はかなり高いと思われますが、まだ普及する段階ではないようです。小石川植物園で開花株まで成長することが確認されているわけですから、これから広く日本で栽培される可能性もあります。当園ではまだ種子はつけていないようですが、大型の鮮やかなオレンジ色の種子のようです。しかしこの種子をどんな生物が運ぶのかなど詳しいことはまだわかっていないということです。
和名の無い木:ブレッシュネイデラ・シネンシス:綿引寿三郎さん
撮影(小石川植物園にて)
和名の無い木:ブレッシュネイデラ・シネンシス、小石川植物園にて(2008・5・14)
関連リンク:綿引寿三郎さんのホームページ(植物図鑑)
http://www.linkclub.or.jp/~jusa/
このインターネット植物図鑑には、なんと5589種が掲載され、日本でも屈指の大図鑑となっており、ますます進化します。是非ご利用下さい。
舎人公園にヤセウツボの自生地 [植物観察]
ヤセウツボはハマウツボ科ハマウツボ属の双子葉植物・合弁花類の一年生の寄生植物でマメ科、セリ科、キク科などの植物の根から寄生根(特殊化した根で相手植物の根組織と結合)で養分を吸収し4月頃から7月ころ竹の子のように地上に出現します。
1937年に千葉県で確認されたそうです。全体葉緑素を欠き、黄褐色を呈しています。花は(靫)うつぼに似た唇形で、葉は必要が無く退化しています。ヤセウツボは光合成をしないため、栄養を完全に寄主(ムラサキツメクサ)に依存する完全寄生植物で、葉緑素を持ち光合成により炭水化物を自分で合成する半寄生植物とは異なります。マメ科のムラサキツメクサは根瘤菌により空中の窒素を固定し窒素肥料の少ない土壌でもよく生育する環境にやさしい植物ですが、この有用な植物に目をつけて寄生し養分を略奪するとはなんと憎い植物でしょう。蒴果には多くの種は詰まっており、動物、風、人間などにより伝播するとされています。
ヤセウツボは外来生物法で要注意外来生物に指定されており、はびこり過ぎると農業に影響がでると懸念されています。
ヤセウツボの自生:舎人公園管理所脇の空き地に沢山のヤセウツボが
見つかりました。しばらく見れますのでお出かけ下さい。
ムラサキツメクサに寄生したヤセウツボ:左の太いものがヤセウツボ
寄生根で左のムラサキツメクサと結ばれている。タコ足状の根はヤセウツボのもの
ヤセウツボの開花:両性化で多くの種子を持つ蒴果ができる。
大小様々なヤセウツボ:寄主(ムラサキツメクサ)の栄養状態で大きさが決まるのでは。
セリ科のノチドメに寄生したヤセウツボは小さいようです。若いヤセウツボは寄生根
がしっかりしているが、開花期以降では寄生根が退化?しているように観察された。
開花期以降はヤセウツボの太った体の養分で種子を生産するように推定された。
ナガミヒナゲシ [植物観察]
下の写真はナガミヒナゲシです。興味のある方は探して見てください。
舎人公園ボランティア花壇では、現在ポピー、ハナビシソウ、ヤグリマギク、キンセンカ、ヒルザキツキミソウが見頃です。
ナガミヒナゲシの花と実(1)
ナガミヒナゲシの花と実(2)
ナガミヒナゲシ(舎人公園外周)
ナガミヒナゲシ(舎人公園内事務所隣接)
舎人公園でアカミタンポポ発見 [植物観察]
ことしの4月、舎人公園でやっと念願のアカミタンポポを数箇所で見つけました。昨年足立区では発見出来なかったのですが探し方がまずかったのでしょう。皆さんもアカミタンポポを探してみませんか。慣れたらすぐわかります。ここでアカミタンポポの復習をしてみましょう。
タンポポ : 外来種には、セイヨウタンポポ系とアカミタンポポ系があり、共にヨーロッパ原産で明治初期に日本に持ち込まれたようで,今では日本全国に分布域を広げた帰化植物です。ニホンタンポポが春開花するのに対し、セイヨウ・アカミタンポポは春から秋まで長く花を咲かせます。総苞外片を見ると、セイヨウ・アカミタンポポは花の基部で反り返るが、在来種は花の基部に沿って固く閉じるので区別できます。セイヨウタンポポとアカミタンポポの区別点は痩果の色の違い(セイヨウタンポポが淡褐色~黄土色、アカミタンポポは赤褐色)にあります。セイヨウ・アカミタンポポ共に染色体が三倍体のため無融合生殖(単為生殖)で増えるので繁殖力は旺盛です。隣の北区では20年以上前に観察されています。
アカミタンポポの綿帽子(冠毛):中に赤褐色の種(痩果)が見えます
アカミタンポポの赤褐色の種
多摩森林科学園にて [植物観察]
先日、森林総合研究所多摩森林科学園で開催された、読売文化センター”花と緑をもっと知ろう”という講座に出かけました。ここの山は、サクラのコレクションが有名で、全国各地からのサクラ約250種類1700本が植えてあるそうです。ヤマザクラ、オオシマザクラ、エドヒガン、マメザクラ、ミヤマザクラ、カンヒザクラ、チョウジザクラ、オオヤマザクラなどがあり、色々なサクラが見事に咲いていました。花の色が淡黄色の鬱金、黄緑色の御衣黄、雌しべが葉化してしている一葉(一枚)、普賢象(二枚)に興味をもちました。これらの人気の高いサクラは舎人公園の千本桜にもあり、近くで観察できるようになりました。
ここは、サクラ以外でも植物の宝庫で観察に格好の場所です。最初にカメラに収めたのはヤブレガサです。キク科ヤブレガサ属の落葉多年生で、破れた番傘に似ており、出たての葉(破れ傘)は食べられるそうです。
次に写したのは、イヌツゲの虫こぶ。イヌツゲメタマフシで、イヌツゲタマバエの悪さで出来たコブです。コブの中で、ウジムシみたいな幼虫が何匹か暮らしています。虫こぶは舎人公園で色々な種類を見つけ、カメラの収めていますが、イヌツゲの虫こぶは初めてでした。
最後に写したのはクモの抜け殻(脱皮)。どこでも観察されるはずですが小さいので見失っているのでしょう。偶然仲間が発見しました。抜けだしたばかりのくもは逃げてしまい写せませんでした。
カメラには収めませんでしたが、キランソウ、クサイチゴ、タチツボスミレ、キツネノカミソリ、ウラジロガシ、イチイガシ、アカガシなど普段見られない植物が多くありました。舎人公園ではカントウタンポポが多く見られるのですが、この地ではほとんどセイヨウタンポポ(あるいは雑種)でした。
ヤブレガサが一面に群生していた
イヌツゲの虫こぶ(中に幼虫がいるはず)
クモの抜け殻(長さ1cmくらい)
舎人公園でイボタ蠟(ろう)発見 [植物観察]
イボタノキに付着しているイボタ蠟(2月28日撮影)
イボタノキ:モクセイ科イボタノキ属の落葉低木、花と実はネズミモチそっくり
舎人公園のシモバシラの霜柱 [植物観察]
舎人公園で観察したシモバシラの霜柱
今朝この冬一番の冷え込みがあったので、舎人公園におもむきシモバシラ(シソ科の野草)の観察に出かけた。ひょっとしたら、シモバシラに霜柱が出来ているのではと半信半疑ではあったが、見事氷の芸術が完成しておりびっくり。二枚目の写真のように、一瞬綿菓子を思わせる天然の芸術品。今後何回見れるか分からないが観察を続けよう(茎の組織が結氷により破壊され氷の芸術は見られなくなる)。
シソ科のシモバシラは、冬地上部は枯れ、枯れた茎の維管束が地中の水分を毛管現象により取り込み、その水分が茎の外に滲み出た時氷の結晶となるもので、条件により色々の形が出来るようです。
シモバシラ以外でも霜柱が出来る植物は沢山あるようです。
シモバシラ(シソ科シモバシラ属、多年草)の花:秋開花(舎人公園)
シモバシラに咲いた霜柱の芸術の華:綿菓子を思わせる
2007・12・27午前10時半撮影(舎人公園)
普通の霜柱:どこでも見られる
2007・12・27午前10時半撮影(舎人公園)